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現代時計の世界における簡潔な歴史

マルチパートで展開する新シリーズを紹介しよう。

40年前の先月、私は「Jewelers' Circular-Keystone(JCK)」という悩ましい名前の月刊誌の共同編集者という新しい職に就いた。レポーターとしての私のキャリアは、その前年に米ニュージャージー州ケープメイ郡の地元紙でスタートした。そこでの仕事は順調だった。地元のニュースや政治に加えて、1976年の民主党全国大会やカーター新大統領の就任といったいくつかの国家的なネタも報じることができた。ジャーナリズムの神様は、そんな新人に微笑み、いくつかの報道賞をもらうことができた。これで、待望の数万ドルの給料を求めて、ケープメイを飛び出すための切符を手に入れたのだった(そう、当時の小さな町の新聞社勤めの年収は数千ドルが相場だった)。

 新しい職に就いた初日、聡明なアイルランド人である編集長のジョージ・ホームズは私に、「君は時計を担当することになる」と告げた。JCKは、小売宝石商やそのバイヤーを中心とした宝石業界の専門家を読者層とする業界誌だ。時計は、ダイヤモンドや色とりどりの宝石と並んで、この雑誌の主要な掲載対象だった。

 あの日、私は憂鬱な気持ちで、職場から自宅まで車を走らせた。時計? 本当かよ? 時計について毎月、何を書けばいいんだ?

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やがて、それは全く杞憂だったことが分かった。1977年、時計業界は戦争状態にあった。スイス、日本、中国(当時は香港と台湾)、そしてアメリカの各社が、激しい戦いを繰り広げていた。クォーツウォッチ革命として知られる大変化が起きたのだ(スイスでは、それは今なおクォーツ危機と呼ばれている)。担当して数日で、私は時計業界に病みつきになっていた。この担当分野には全てがあった。時計は500年前から、芸術と科学の両方を映し出してきた消費者製品だ。時計はグローバルな市場をもち、技術的変化と苦闘する国家的産業でもある。その背景には、時計をめぐるビッグママネーと興味深いドラマの世界があり、マーケティングや技術革新の面で激しく競争してきた魅力ある役者たちが存在するのだ。フランス革命について語った偉大なる詩人、ワーズワースの言葉を借りれば、「生きてあの夜明けを迎えた喜びよ、だが若き時計レポーターであることこそが天国!」である。

 40年以上もの間、最前列の席に座ってモダンウォッチの世界の成り立ちを観て来られたのは、私にとって非常に幸運だった。私の見立てでは、今日の時計業界は、一連の4つの革命によって形作られた。それらの革命は、まず業界を混乱に陥れ、次に魅力的な新しい時計だけではなく、新たな時計のカテゴリーや消費者、ブランド、企業、グループを生み出してきた。

 その革命とは、1970年代のクォーツウォッチ革命、80年代のファッションウォッチ革命、90年代の機械式ルネサンス、そして現在のスマートウォッチ革命である。